LICHT

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Grass seat chair

こちらの商品は現行品(Standard)の限定品となります。

昨年、姉妹店のLICHTにて開催した「ジョージ・ナカシマ没後30年企画展」において、ローズウッドのグラスシートチェアを桜製作所様が特別に復刻し、スペシャルエディションとして限定受注販売いたしました。 企画展開催中に上記は完売いたしましたが、この度ご好評につき桜製作所様の所蔵品を2脚特別にご提供させて頂く運びとなりました。

ジョージ・ナカシマは家具の「デザイナー」と呼ばれることを嫌い、自ら「ウッドワーカー(木匠)」と名乗るほど、木を素材としてだけ捉えるのではなく、自然からの恩恵である木のこころに耳を傾け、真摯に向き合った人物。早年は建築を学び、生涯を通しての友である日本建築界の巨匠、吉村順三からは「簡素なものの美しさ」「プロポーションというものは僅かな誤差でデザインを駄目にしてしまう」等、後の家具作りの根幹ともなる重要なことを学んだ。そんなナカシマの大きな転機になったのが、当時在籍していたレーモンド事務所に依頼のあったヒンドゥー教修道院の建築計画の現場監督としてインドに赴任したこと。現地に合う工法やデザインで建築や家具を作るスキルを磨いただけでなく、修道者との暮らしの中で深い精神が育まれ、ナカシマの作品に独特の美学や哲学が宿るきっかけに。それでは、ナカシマの家具の中で最も初期にデザインされ、重要な出発点とされるこちらの椅子に迫ってみよう。

グラスシートチェアはニューホープの工房と桜製作所で今もなお製作されているロングセラー。現行はウォールナットで製作されているが、こちらはインド産のローズウッドを使用。実はインドはナカシマが家具の現地生産を試みた国。1961-1972年という短い期間ではあったが、インド国立デザイン研究所(NID)に自らのデザインを提供し、現地の職人たちとローズウッドのグラスシートチェアを製作していた。きっと自身の精神を養しなってくれたインドに愛情や恩返しの念があったのだろう。NID設立やル・コルビュジェのインドでの活躍を支援したことで知られるサラバイ氏の邸宅では、今でも大切にグラスシートチェアが使用されていることからもインドとナカシマの繋がりの強さを感じる。

厚みを抑えた背板は、まるで新月のような美しい弧を描く。これほど見事なラインを描けば、普通は他の部材も曲線を用いるはず。ところが、座のフレームは鋭い四角形。半円と四角のコントラストがもたらす緊張感に美意識が刺激されるようだ。また、背板と座を結ぶのはナカシマの椅子の代名詞である洗練されたスポーク。このスポークが生み出す抜けが軽やかな印象を与えてくれる。 グラスシートチェアの由来にもなっている「い草」はインドの蒸し暑い気候を配慮して、座面に採用されたもの。まさに現地に合う工法やデザインを追求したナカシマならではのアイデアだ。もちろん畳文化が残る我々日本人にも馴染みがあり、心地良い素材なので、1年を通して快適に使用できるだろう。最初は青々とした「い草」の若さや香りを楽しみ、ローズウッドと共に経年で深みを増す様子を堪能していただきたい。

木材とい草という一見和の印象が強い素材だが、円と四角という幾何学で構成されたプロポーションからか様々なテイストの空間に意外なほど馴染む。また、背板がしっかりと腰回りをホールドするため座り心地も申し分ない。凛とした佇まいを眺めているとナカシマが神経を研ぎ澄まし、木と向き合い、そして使い手が長く愛用できるよう丹念に製作する姿が想像できそうだ。

記事:萱野


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STANDARD - LIMITED

W 575 D500 H700 SH430

George Nakashima/ 桜製作所 / Japan / 1944 / Rose Wood & Grass

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