LICHT

TANGALI CHAIR

インドのファントムハンズは、自国のバンガロール地方の工房で家具を製造している。職人の手仕事が多用されるのがその特徴で、ピエール・ジャンヌレの家具の復刻製造のクオリティの高さでも世界的に知られる。ミラノが拠点の2人組、イノダ＋スバイエがデザインした「Tangāli Chair」は、たとえば座面の籐の張り方が手仕事でしかできない仕様になっていたりと、ファントムハンズの持ち味を巧みに引き出した。アームの周囲の曲線や、座面の木枠と脚部のフレームの接点には、デンマークの名作家具に通じる趣がある。工作機械の発達に加え、3Dプリンタをはじめとする製造技術の発展は、ものづくりの現場から手仕事をさらに失わせていくだろう。そのような時代を前に、デザイナーの攻める姿勢が象徴的に表れた椅子に思える。

Inoda&Svejeは、大阪主出身の猪田恭子と、デンマーク・オーフス出身のニルス・スヴァイエが2000年に結成したデザインチーム。建築家としてのバックグラウドを持ち、プロダクト、医療機器、スピーカーなどのデザインも手がけている。

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