LICHT

METAL LAMP

スウェーデンのスタジオを拠点に制作を行うデヴィッド・テイラーによる、アルミニウム製のランプ。

一見すると禁欲的で現代的なアッパーライトだが、その素材選びと製作方法によって、見る者の期待を裏切る。使用されているのは、一般的に建材として用いられるアルミ押出材。自身のスタジオで、デヴィッド本人が曲げ加工を施すことで成形されている。素材にアルミニウムを選んだのは、高温で熱しても表面の色に影響がなく、美しく仕上がるため。しかしその特性のために、加熱時の変化が非常にわかりづらいため難易度は高い。金属表面の反射具合の微妙な変化を見極めながら、適切な温度に達した瞬間、一気に曲げて仕上げる。

曲げた箇所に現れる、まるでスポンジやしなやかなファブリックのように有機的な表情は、私たちが金属に対して持っているイメージに反していて、その矛盾に本能的に惹きつけられる。製品の製造工程で通常は抑制されるアルミ本来のやわらかな側面が、デヴィッドの審美眼によって鮮やかに引き出された。

デヴィッド・テイラー（David Taylor）は、スウェーデンの田園地帯にある自宅兼スタジオで制作を行う、多面的なクラフトマン。スコットランド出身で、スウェーデン・コンストファック大学を卒業。作品は批評的でありながらユーモアを含み、機能と形の関係性を再構築し続ける。大量消費社会への問いかけと「唯一性」を称える姿勢は、既存のデザインの枠を超えつつ、クラフトの基本精神に根ざしている。プロセスの物語性が物体そのものに刻まれるその作品群は、国内外の展覧会やギャラリーで高く評価されている。

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